子どもの感動を待てる お父さん

うさこちゃんとどうぶつえん(1964)
ディック・ブルーナ 文・絵
いしいももこ 訳












うさこちゃんの絵本には、おでかけにうさこちゃんを誘うお父さんの姿がよく描かれています。この作品もそんなひとつ。 ある日、お父さんが言います。
「おい うさこちゃん とうさんは どうぶつえんへ いこうかと おもってるんだが いっしょにくるかい?」
面白いなと思うのは、まずお父さん自身が自分が動物園に行きたいと思っていることをうさこちゃんに伝えているところです。 自分も行きたくて、きっと楽しいから、子どももそれが好きなら一緒にときを過ごそうという感じなのでしょうか。


きしゃにのり、どうぶつえんについたうさこちゃんは、おうむ、しまうま、かんがるーにぞう、たくさんの動物たちに出会います。
動物園に行くと、「あそこにあれがいる」「そこでえさを食べてる」「しまがあるからしまうまなんだよ」など、子どもの先回りをしてしまっているお父さんやお母さんをときどき見かけます。 でも、うさこちゃんのお父さんは違うようです。

うさこちゃんがたずねます。
「からだに しまがある。あのうまが しまうま?」


うさこちゃんは思います。
「なんて ぞうは おおきいんでしょう」


お父さんは、うさこちゃんが自分で見つけ、感じることを、じっと待っている気配すらします。ほらね、うさこちゃんのすぐ側で。

「きりんが そばまで やってきたとき うさこちゃんは ちょっと こわくなって とうさんの てに つかまりました」


晴れた休日には、是非、動物園にお出かけください。そして、先回りせずにお子さんが全身でなにかを感じとろうとしている姿を、側でゆったりと待ってあげてください。 そしてできれば、お父さん、お母さんも全身で何かを感じてみてください。お子さんについての思いがけない発見があるかもしれませんよ。