幸せのつながりを教えてくれる人たち

  • うさこちゃんのおじいちゃんとおばあちゃん(1993)
  • ディック・ブルーナ 文・絵
  • まつおかきょうこ 訳
  • 定価735(税込)
父方なのか、母方なのか。それはわかりませんが、うさこちゃんには、
とても素敵なおじいちゃんとおばあちゃんがいます。
おじいちゃんは、大工仕事が得意です。ある日、訪ねてきたうさこちゃんに、
おじいちゃんは得意の大工仕事で手作りした赤いすくーたーを
うさこちゃんにプレゼントします。
「おじいちゃんが じぶんで つくったんだぞ」
見てくださいな、おじいちゃんちょっと誇らしげな顔。
きっと、うさこちゃんが訪ねてくる日が決まってから、いやもっと前から、
わくわく、そわそわしながら準備をしたのではないかと思うのです。
うさこちゃんは大喜び。
「まえから ずっと ほしかったの。 おじいちゃん
どうして わかったの? 
それに あたしの いちばんすきな あかい いろ」

離れたところに暮らしていても、
うさこちゃんのことはなんでもお見通しのおじいちゃん。

おばあちゃんは、編み物が上手です。うさこちゃんは、
おばあちゃんの手をよくみて、編み物を教えてもらいます。
うさこちゃんは、教えてもらいながら、
はじめての編み物で、おばあちゃんのしょーるを編みます。


おばあちゃんは大喜び。
「まあ、きれい。 よくできたこと。 それに たっぷりしていて
あたたかい。 おまけに わたしのだいすきな あかいいろ」

うさこちゃんとおばあちゃんの好きな色が、同じという設定。作者ブルーナ氏に心憎さを感じます。おじいちゃんが、
うさこちゃんの好きな色を知っているのと同じように、うさこちゃんがおばあちゃんの好きな色を知っているという、
小さな幸せのつながり。
小さな子どもにとって、大好きな人と好きなものが同じということが、
とっても嬉しいことだということをブルーナ氏はちゃんと知っているように思うのです。
そしてなにより、誰かに何かをしてもらうことも嬉しいけれど、誰かに何かをしてあげることの喜びが、
小さな子どもの中にもちゃんとあることを、
うさこちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんは、こっそり読者に教えてくれているのではないでしょうか?

楽しい時間はあっというま。
うさこちゃんがおうちに帰る時間になってしまったようです。
「おじいちゃんと おばあちゃんは おうちの まえに たって 
ながいこと てをふります。」

きっと、うさこちゃんが見えなくなっても、ふたりは手をふり続けていることでしょう。