どっちがうさこちゃん?

  • うさこちゃんおとまりにいく(1993)
  • ディック・ブルーナ 文・絵
  • まつおかきょうこ 訳
  • 定価735円(税込)

幼い子どもにとって、友だちの家でのお泊まり会や、お誕生日会はとにかく一大イベント。特に、お泊まり会は、楽しみな反面、お母さんやお父さんと離れることへの不安が頭をもたげたり…。今回のお話では、うさこちゃんが友だちの家でのおとまりにはじめて挑戦します。

うさこちゃんのおうちに友だちから、手紙が届きます。
それは、お泊まり会の招待状でした。
「わあ、 いきたい! うさこちゃんは もちろん いくことにきめました。」
オレンジの背景の中のうさこちゃん。
うさこちゃんのわくわくした気持ちが伝わってくるようです。
お泊まり会の日、お母さんがうさこちゃんをバスの停留場まで送ってくれました。
なにしろ、うさこちゃんは、
「ひとりで よそのうちへ とまりにいくのは これが はじめてです。」
うさこちゃんも少し不安気ですが、
お母さんもどことなく心配気な表情をしていると思いませんか?
先の場面との、背景色のコントラスト、ブルーナさんさすがです。

バスに乗って、友だちの家についたうさこちゃん。最初にしたことは何だと思いますか?
「ふたりは まず ながいこと おしゃべりをしました。」
だって、うさこちゃんは女の子なんですもの。あえて、この描写がはいっているところをみると、ブルーナさんは女の子がおしゃべりが大好きなことをちゃんと知っているようです。

たっぷりおしゃべりをしたうさこちゃんと友だちは、
「かくれんぼ」「おにごっこ」「ローラースケート」「お面づくり」と、
色々なことをしてたくさん遊びます。
たくさん遊んだあと、うさこちゃんとお友だちは、一緒にお風呂にはいります。
お風呂だってお湯をぱしゃぱしゃかけあいっこ、楽しいことといったら!
不思議なのは、たくさんの遊びや風呂の場面、その絵だけを見ていると、
うさこちゃんと友だちの見分けがつきません。
どちらがうさこちゃんかわかりますか? (※1)
途中でお母さんや、お父さんが恋しくなることなく、
楽しく一日を終えたうさこちゃん。たくさん遊んだあとは…?
最後はやはり、すやすやと寝息をたてる、眠りの場面でしめくくられます。
「それから、 おふとんに はいりました」

お話をとおして、うさこちゃんと友だちがとっても仲良しなことが伝わってきます。そして、うさこちゃんはすごいなあと私は思います。私のはじめてのお泊まりは、夜中にべそをかいて、お父さんに自転車で迎えにきてもらったからです。幼稚園や保育園の一泊行事なんかの前に、親子で一緒に読んでみるのもよいかもしれませんね。

※1
ブックデザイナーの祖父江慎氏は、『美術手帖(美術出版社)』2010年4月号の中で、
この見分けがつかない表現について、こんなコメントをしています。
「服の色を変えるだけで、うさこちゃんが別の子に見えるでしょ?
色ひとつでどうとでもなってしまう。それくらい微妙なアイデンティティーが面白いの。」

みなさんはどう思われますか?